深夜のひよこ豆炊き。1日水に漬けておいたものをざるに取り、たっぷりの水と香味野菜や季節ものをちょいといれて丁寧に灰汁を取りながら中火で２時間ほど炊きます。好みの塩梅に柔らかくなってきたら塩を入れて味見をし火を止めます。熱々の炊きたても美味しいのですが、この季節は菜炊汁ごと冷蔵庫で寝かせて２日目あたりが私の好み、炊汁を切った豆と赤玉葱にコリアンダーとにんにくを加えたペーストでざっと和えてレモンをひと絞りオリーブオイルをたらして、ししとうや茄子やとうもろしなど焼夏野菜と一緒に食べる豆夕食もなかなか乙なもの、カリッと冷えた白ワインがあれば上等なのです。
夏至を過ぎてすっかり夏日が戻ってきたパリ、うちの前の公園では22時の笛で閉園になる合図があった後も、夕涼みの人達はしばらく立ち去りがたい様子でした。
もうかれこれ1週間ほど冷蔵庫で待機していたアスパラソバージュ、近所の商店街の八百屋で安売りになっていたのを欲張り買いしたものでした。最初はひたし物、オムレツ、パスタと食べ進めていたけれど出かける用事も重なって料理できず新聞紙に包んで放置、冷蔵庫を開ける度にまだ元気かしらと薄目でめくっては気を揉む数日を過ごしていましたが、ようやく最後の束を湯がきました。さて、どうして食べようか…。外は肌寒く緑冴えない曇り空だけど、私の食欲は日本の梅雨模様で、この風物詩と揚げ茄子を生姜多めの土佐酢にくぐらせて饂飩といただきました。おかわりもした休日の遅いお昼ごはん、それでもまだ半束残っています。
明日、また日本へ発ってしまう骨董屋主人のアトリエでの昼ごはん。我が家の残りごはんの角煮に蒸かした初物のラット芋と向かう道すがら中華総菜屋で買い足した香米、アトリエにあったロケット菜を盛ったひと皿です。すっかり主人の宝荷が送り出された後のアトリエは嵐の後のように沈と静かで、今回集められたアイテム談は見聞き逃がしてしまったけれど、この夏の南仏旅行の計画を弾ませながら旺盛に平らげ、食後は朝市で買った国産の苺、それから黒さくらんぼう。ほんとうに胃のほど知らず…と我ながら呆れるけれど、それでもお腹がふくれてしあわせな休日昼下がり。
モンパルナス墓地の緑の小径を抜けて、てくてくと帰り着いてもまだお腹は鉛のようでした。
暮らしに変化がありまして…なんて甚だ言い訳がましく、加えて生来の怠け筆がたたり、旧ブログの更新からとくとくと１年の暦が流れてしまいました。
このところつむじまがりな空模様が続いていたパリですが、蒼天の今日は衣も心も軽く、ようやく鬱滞を抜けました。
現在働く店は温室の様な風貌で北マレの小径に目立たずあります。注文から解放された16時ちょっと前、熱気籠る鰻の寝床の厨房から1番大きなボールに水張った満杯のきぬさやを持ち、どすどすと店を抜けて外へ。いちばん近いベンチを陣取って、道行くひとを流し目に水音遊んで下拵えをしました。
明日はきぬさやとひよこ豆のサラダ、並びます。
大変ご無沙汰をいたしておりました、心機一転ブログもこちらに引っ越しもしまして、無精ながらもまた日日ぽつりぽつりと綴って参りたいと思っております。
これからもどうぞごひいきによろしくお願いいたします。 吉野飛鳥